知っているようで実は知らない話

アメリカ横断ウルトラ・クイズの問題の中には、知っていそうで実は実態を詳しく知らない問題が時々出て来ます。

その代表的な問題が、第7回のハワイで出されていました。

問・物事は、外見と違う事が多いという意味。「あの声でトカゲ   食うか」といわれる鳥は何?

答・ホトトギス

解説 この言葉は江戸時代の俳人、榎本其角(えのもときかく)江戸時代中期の俳人で芭蕉の高弟。

彼の代表的句として有名で、知っている人は多いので、正解は簡単でした。

問題は、其の後です。

ホトトギスはどんな声で鳴く鳥なの? との問いには夏に「テッペン、カケタカ」と表現される声で鳴くと伝えられています。

この鳴き声までは、比較的知られた知識と言えます。でも、姿は? 大きさは?となると不明な人も多いはずです。

そこで鳥類図鑑に沿って、ホトトギスの全体像をご紹介しましょう。

ホトトギスは東南アジアに生息し、夏になると渡って来るカッコウ科の全長30Cmの鳥です。

意外に大きい鳥なのですね。

トンビの様でトカゲくらい食いそうです。

姿と異なり、古来から文学や伝説に多く登場し、あやめ鳥、橘鳥、時つ鳥、いもせ鳥など多くの異名があります。

夏は全国の山地に棲み、鴬などの巣にチョコレート色の卵を産み抱卵と子育てを仮親に託すというチャッカリ者なのです。

秋には、育った子供を連れて故郷の東南アジアへ帰ってしまう渡り鳥なのですね。

あの声でトカゲ食うかやホトトギス、などと詠われていたので、鴬のような美形の小鳥を想像していた人も居るでしょうね。

実は、私もその様にイメージしていたので、今回の投稿で調べホトトギスの実態を初めて知り驚きました。

本日の裏話は、知っているようで知らない知識の実体験のご紹介した。

クイズ問題の難易度について

アメリカ横断ウルトラ・クイズの問題を振り返ると、時代の変化を痛切に感じる問題があります。

即ち、当時は難しい問題だったものが、現代では子供でも知っている常識となり、クイズ問題にはならないものもあります。

その代表的な問題が、第11回の後楽園球場の「チャンピオン・エキビジション」早押しクイズで出されていました。

チャンピオンの戦いですから、当時としては難しい部類の問題でした。

問・コンピュウターのプログラムやデータを引き出すのに必要な合い言葉は何?

答・パスワード

解説 パスワードは言葉に限らず数字・アルファベットなどあらゆる組み合わせとケタ数が設定出来ます。

現代はコンピューター時代で、老若男女を問わずパソコンやスマホを操作します。

尤も、高齢者の中にはアナログ人間も多く、意地でもスマホを避け、ガラ携に拘る人も居ますね。

それにしても、パスワードとの言葉は常識中の常識で、クイズ問題としては超易しい問題と言えます。

クイズは知識を競うゲームなので、クイズ・ファンは或る程度は難しい問題でないと満足しません。

理想的な問題とは、3割の日本人が答えられる程度の難易度だそうです。

つまり「自分は平均以上の知識がある」との満足感が得られるからでしょうね。

クイズ問題には、何時の時代でも不変の知識と、時代によって移り変わる知識があり、この匙加減が難しい処です。

本日の裏話は、クイズ問題の難易度は時代によって変化する、とのクイズ・ファンにとっては常識的なお話でした。

秋の実りの話

アメリカ横断ウルトラ・クイズの問題の中には、忘れられた日本語を思い出させる問題がありました。

第4回のイエローストーンで、次のような問題が出されていました。

問・カシ、ナラ、クヌギなどの堅い実のことを何という?

答・どんぐり

解説 どんぐりの事は誰でも知っていますが、改めて問われると「カシの実は何だっけ?」のように各々の実の名前を考えてしまいます。

「どんぐり」が、堅い木の実の総称だったとは、日本語の盲点だったのですね。

どんぐりをテーマにした歌では「どんぐりコロコロ」が多くの子供達に親しまれた童謡です。

また、宮沢賢治の「どんぐりと山猫」も文学ファンには知られた短編と言えるでしょう。

どんぐりの中には、古来から食用になっていた実もありましたが、渋みが強く現代では人間は食べなくなりました。

とは言え、大戦中や戦後の食糧不足の時代には、様々な工夫で食用にしていた時代もあったのです。

現代は、豚などの動物の餌として使われ、特にイベリコ豚は肉の味が美味になるとして、飼料の主力になっているそうです。

また、自然界では熊がどんぐりを食用とし、不作の年には人里に現れ農作物を荒らしてニュースになっていますね。

堅い木の実でも「栗」や「胡桃」はスウィーツの材料として、どんぐりの仲間でありながら別格の食品になっています。

栗や胡桃も、総称では「どんぐり」だったのですね。

その「どんぐり」の個々を比べると甲乙ハッキリと勝負有りで、栗や胡桃は貴重な食材になっています。

と、なると食用にならない「樫」や「椎の実」とは段違いです。従って「どんぐりの背比べ」とはなりません。

本日の裏話は、日本人なら誰でも知っている「どんぐり」の素性のご紹介でした。

 

台風、地震W災害の秋

アメリカ横断ウルトラ・クイズの問題の中には、今日・現在出題されても可笑しくない、タイムリーな設問がありました。

第12回のパシフィカで出された問題です。

問・比較的狭い特定の地域で数多く発生する地震を何という?

答・群発地震

解説 この言葉が一般に知られるようになったのは、長野県の松代町で発生した松代地震でした。

これは1,965年(昭40)から5年間に亘り発生した地震の事です。

約5年間に、有感地震は63,000回を数え「群発地震」の言葉が一般に知れ渡ったのです。

今回の北海道で発生した地震も、すでに群発地震の危険地域として、以前から警戒されていたのだそうです。

近年の地震を振り返ると、1,952年十勝沖地震(M8.2)1,973年根室半島沖地震(M7.4)平成15年十勝沖地震(M8.0)と多くの被害を出しています。

過去の例でも証明されるように、北海道の太平洋側沖合いは、震源地の巣窟と呼ばれるくらい危険地帯なのだそうです。

今回の地震は、午前3時過ぎの真夜中だったため、被害者の皆さんは就寝中でした。

真夜中とは言え、素早く脱出して助かった方もいました。ですが多くの人は就寝中に突然生き埋めになってしまったのです。

運、不運の分かれ道で、未だ行方不明の方が残っています。一時も早い救出を祈りたい気持ちです。

先週はこの北海道の地震の他、四国、近畿地方の台風被害。歴史上初とも言える恐ろしい情景が全国にテレビ中継されました。

「長年生きてきたけれど、こんな目に遇うのは初めて」と嘆く年配の被災者の皆さん。

戦争の被害も忘れられませんが、今回の台風と地震のダブル災害はそれ以上、全国各地を荒らしています。

今回の裏話は、クイズ問題から派生して今年の異常災害の話に進んでしまいました。被害者の皆様にお見舞い申し上げます。

プラスチックが公害に!

アメリカ横断ウルトラ・クイズの問題を振り返ると、新旧様々な知識を試す問題が多数ありました。

中には、最近ではあまり使われない材質や言葉の問題も時々含まれています。

第7回のジャスパーで、次のような問題がありました。

問・童謡「青い目の人形」で、人形の材質は何?

答・セルロイド

解説 野口雨情・作詞、本居長世・作曲の「青い目の人形」は昔は日本人なら誰でも知っていた童謡でした。

でも、最近ではテレビで流れるアニメの歌などが主流で、童謡を教える親も少く、歌詞までは覚えない人が大多数でしょうね。

歌詞に青い目をしたお人形は、アメリカ生まれのセルロイド、とあり、昔の子供達はみんな歌った童謡でした。

セルロイドとは、ニトロセルロースを原料としたプラスチックの1種で、数多くの製品に加工されていました。

プラスチックも、硬さや重量などが改良され、現代ではセルロイドの姿が消えているのは時代の流れでしょう。

ところで、このプラスチックですが、現代では世界中の公害として大問題になっているのです。

最近発表された数字では、年間に800万tのプラスチックゴミが世界の海に流れこみ、大小の海洋動物が飲み込むなどの被害を受けているとの事です。

中には、イワシの体内から微小のプラスチック片が出るなど、これを人間が食べれば害になるのは明らかです。

各国でプラスチックを海に流さないように、対策を立てていますが、効果を出すのは至難の技との事。

便利なプラスチック製品も、使用後は公害になってしまう、化学製品の開発とは難しいものですね。

原子力発電の使用済燃料も大問題ですが、プラスチックまで、公害になるとは、学問の難しさを象徴しているようです。

本日の裏話は、科学の発展は便利さ公害の板ばさみのようですね。こうした状態を日本語では諸刃の剣と言います。