庶民の娯楽NO1

アメリカ横断ウルトラ・クイズの問題は、森羅万象の中から日本人の常識となっている事象を問うのが基本でした。

日本人の常識ですから、老若男女を問わずまた時代を乗り越えて、何時の時代でも通用する知識なのは言うまでもありません。

第11回、今から30年以上前のニュージャージで行われた準決勝で、現在の状況にピッタリの問題が出されていました。

問・将棋で勝負を翌日に持ち越す場合、その日の最後の一手を指さずに手紙を書いて次の日まで立会人が保管する事を何という?

答・封じ手

解説 「コロナ騒動」や「大雨による洪水」で暗い出来事の多い今年の夏、唯一明るい話題が将棋の王位戦でしょう。

高校生の藤井聡太七段が挑戦する、第六一期王位戦七番勝負第二局が、7月13、14日に札幌市で行われました。

対戦相手は「中年の星」と呼ばれる木村王位。年齢差が親子ほどありながら、藤井七段が木村王位に勝ちました。

第3局は、8月4・5日に兵庫県神戸市で行われる予定で、全国の将棋愛好家の楽しみと注目を集めています。

この対戦は、連日ニュース番組で報じられ「封じ手」に関しても作法と細部に亘るルールが紹介されていました。

何れにしても、将棋は古く江戸時代から庶民の「遊び」として日本人に親しまれたゲームなので、一般常識となっています。

尚、7月16日に第91期棋聖戦で藤井聡太君は渡辺明棋聖と対戦し、17歳11か月の最年少でタイトルを獲得。

遂に「棋聖」と呼ばれる名誉を得たのです。おめでとう!

将棋には伝説的な「名人」も数多いのですが、その代表的な人物を一人ご紹介しましょう。

明治から昭和にかけて活躍した阪田三吉で、北条秀司・原作による新国劇「王将」のモデルになった人物です。

この作品が大当たりした為、舞台や映画で何度も再演されました。

更に、村田英雄の歌謡曲「王将」のモデルになり、将棋ファンに限らず日本中の人々に愛唱されました。

将棋の強さで伝説となった人物は、阪田三吉を頂点として名前を上げれば数限りなく存在します。

日本人にとってはそれだけ愛好者の多い遊びであり、ゲームだったという証拠でしょう。

本日の裏話は、将棋のルールのクイズ問題から、庶民の娯楽である将棋に関する伝説的なお話でした。

それにしても「将棋」が面白いのは、大ベテランのお爺ちゃんと小学生が対等に戦えるし、孫が勝つ場合も珍しくありません。

高齢化社会の現代、年齢を超えて楽しめる「将棋」こそ日本の国技にしたら如何でしょう?

「うーん、小さな子供に、頭を使って負けるのは耐えられない」それは、年寄りの冷や水といって若者に嫌われますよご用心!

 

 

 

高校野球の聖地物語

アメリカ横断ウルトラ・クイズの問題は、その時代の人々の関心の高い出来事から多くの問題が創られていました。

今になって問題を見ると、「ああ、そんな事もあった」と懐かしい出来事が思い浮かびます。

また、「歴史は繰り返される」という言葉もあるように、或る周期で同じような事象があるようですね。

今年は、コロナ騒動で世の中は大騒ぎですが、同時に異常気象で各地に洪水が起こるなど災難の多い年でもありました。

今年に似たような時代が第14回平成2年、30年前に有ったようです。レバノンで出された次の問題です。

問・今年は大分県大野郡の「黒土」と兵庫県西宮市の「白い砂」をプレゼントしました。これはどこの土?

答・甲子園

解説 クイズの行われたレバノンと聞けば、中東の国を思い浮かべるでしょうが、実はカンザス州の小さな田舎町なのです。

しかも、地平線の彼方まで見渡せば真っ平らな畑ばかり。実はレバノンこそアメリカ合衆国の地理的なヘソなのです。

そこで、各州の州都までの距離を測り、クイズに正解すれば州都までの距離が得点となりその合計が五千キロになれば勝ち抜け。

つまり、アメリカの地理が頭に入っていれば、上手く行けば二問で勝ち抜け、運が悪ければ5問6問と正解しなければなりません。

さて、甲子園の土ですが、高校野球で甲子園に出場した記念に選手達が毎年持ち帰る姿が有名ですね。

図らずも今年は選抜高校野球が中止になりました。その代り各地域の選抜高が一対一で、一試合だけ甲子園で戦える事に決定。

しかし、彼らは自分の手で土を持ち帰る必要はありません。

何故なら、甲子園球場をホーム・グランドにしている阪神タイガースの監督以下全選手が粋な計らいをしたのです。

日本高野連に加盟する高校の野球部の三年生全員に、甲子園の土の入ったキー・ホルダーをプレゼントしたのです。

この土は、タイガースの選手全員が総係りで集めたもので、歴史上初めての美談と言えるでしょう。

高校野球の甲子園大会は1,915年、全国中等学校優勝野球大会として豊中球場で第1回が行われました。

その後、1,924年の第10回大会から甲子園球場に変更され、春の選抜大会、夏の高校野球大会共に甲子園で行われています。

プロ野球選手の多くが、甲子園の土を踏んでいるために野球少年の憧れの地です。

とは言え、甲子園に出なくてもプロ野球で活躍した選手は多勢いますが、野球選手にとっては聖地で有る事は確かでしょう。

本日の裏話は、甲子園球場の土のクイズ問題から、高校野球の歴史に話が及んでしまいました。

処で、話題のキー・ホルダーは、遅くても8月中には高校の三年生の野球部員に届く手はずになっているそうです。

結論として、タイガースの選手って素晴らしいですね。成績も今のところは快調だし観客も入ったし頑張ってくださ~い。

歴史上の人物にも多種あります

アメリカ横断ウルトラ・クイズの問題の中には、歴史上の人物に付いての問題が多数ありました。

内外の歴史に名を残す偉人も居ます。一方、偉人とは言えないけれど、様々な分野で知られた人物もクイズの範疇でした。

例えば石川五右衛門のような大泥棒も、この番組で何度か問題として採用されていました。

第9回のアナポリスで行われた「早押しダブルチャンス」クイズで、次の問題が出されていました。

問・清水次郎長といえばバクチ打ちの親分。では、仕立て屋銀次といえば何の親分?

答・スリ

解説 実在の人物で、本名は富田銀蔵と名乗り慶応二年生まれ、明治時代に活躍した日本一の勢力を持つスリの親分でした。

彼の生い立ちと「仕立て屋銀次」の名前について、残された資料からご説明しましょう。

若い頃は和服の仕立て屋に奉公し、成人後は仕立て職人をしていました。手先が器用だったので繁盛したようです。

処が、内妻の父親がスリの親分だったところから、認められてスリの技術を習得し、跡目を継ぐ事になってしまったのです。

何と子分が250名もいたので、稼ぎも莫大で長屋を数多く経営し、弁護士を数名抱えるなど豪勢な暮らしをしていました。

彼らは汽車の中で稼ぐ「箱師」と呼ばれるスリ団体で、紳士風な身形で装い悪事を重ねていたのです。

銀次本人は明治末期に逮捕され、大正時代に出所したが昭和に入り再び逮捕されています。

「三つ子の魂百までも」の諺があるように、幾つになっても忘れられない快感があったのでしょう。

因みに、銀次の技を引き継いだスリ師の残党は、1,980年代まで活動していたとの記録も警視庁に残っているそうです。

本日の裏話は、歴史上に名を残す人物にも多種あって、その悪い方の代表的な人物のクイズ問題のお話でした。

歴史上に名を残すのも結構ですが、その子孫が胸を張れるような偉人になって欲しいものです。

えっ?「どんなご先祖様が理想?」

それは何時の世でも先立つものと言えば? お金に決まっていますね。金の成る木が欲しいでーす、な~んてバカな夢ですね~。

アッと驚く言葉の問題

アメリカ横断ウルトラ・クイズの問題には、日本語に関する問題が時々出されていました。

標準語は誰でも理解していますが、方言や昔の言葉になると知らない人も多く、意味を知れば知識の幅が広がります。

特に、専門分野や特殊の業界言葉は難解な事もあって、クイズ問題には恰好の題材です。

そんな特殊の世界の言葉ながら、一般にも使われる言葉の問題が第14回のレバノンで出されていました。

問・芝居用語。ストーリーが急転し、意表をつく形で結末を迎える事を何という?

答・どんでんかえし

解説 もともとの意味は、芝居で場面転換の時、舞台の大道具を次の大道具と取り換えるため、急にひっくり返す事でした。

芝居小屋の舞台は、円形で回転出来るように作られているので、短い時間で場面転換が出来るように設計されていたのです。

この「どんでんかえし」を利用して、観客の意表をつく結末に持って行けば「面白い!」と拍手喝采になる訳です。

この精神は現代の小説、映画、ドラマでも生かされており、結末の意外性は作品の評価に影響していますね。

特に、推理小説では「どんでんがえし」のアイディアによってベストセラーにもなるようです。

また、この言葉は一般社会でも使われるようになり、例えば会社の人事異動などで使われます。

本命の部長候補が僻地の支店に移動。その分思わぬ社員が部長に昇進するなど、サラリーマン社会では良くあることです。

どんでんかえしは、こうした思わぬ結果が出た時に、周囲を驚かせたり、面白がらせる言葉となったのです。

本日の裏話は、芝居用語のクイズ問題から「どんでんがえし」の語源と活用のお話でした。

そういえばこの言葉、現代の社会状況で使いたいものですね。あの「コロナ騒動」をどんでんかえしで何とかして欲しいもの。

世界中が拍手出来るアイディアは? これは無理難題ですね~。

不死鳥と呼ばれるアトランタとは?

アメリカ横断ウルトラ・クイズの問題の中にはご当地問題という枠があり、クイズが行われた場所の問題がありました。

これは番組の企画意図にも書かれていた事で、当時はアメリカの各地を紹介しながらのクイズ番組との狙いでした。

今でこそ、アメリカの事は誰でも良く知ってますが、最初の頃は映画やアメリカ製のテレビ番組でしか知識が得られません。

そんな中、第16回でアトランタへ行きましたが、当時は四年後にオリンピックが開かれるので世界中の注目を集めていました。

その準備が着々と進むストーン・マウンテンが我々のクイズ会場でした。

アトランタは「風と共に去りぬ」の舞台となった場所で、アメリカ人にとっても忘れられない都市と言えるでしょう。

この地で出されたご当地問題は次のクイズです。

問・「正直エイブ」という愛称がつけられた、アメリカの大統領といえば誰?

答・エイブラハブ・リンカーン

解説 アメリカの第十六代大統領で「奴隷解放」の偉業を成した歴史的人物ですね。

弁護士だった彼は、自分で訴訟の正しい側と認めた場合しか弁護しなかった事から「正直エイブ」と呼ばれていました。

我々が訪れた当時のアトランタは、アメリカで最も急成長を遂げていた南部最大の都市、市の紋章は「不死鳥」でした。

南北戦争の焼け野原から、超高層ビル群が林立する市街地を見ても「不死鳥」との市民の誇りが覗える都市でした。

因みに、この地で世界的に有名なものを幾つかご紹介しましょう。

先ずは、七月三日のこの欄でご紹介した公民権運動のリーダーでノーベル平和賞を受けたキング牧師の生家とお墓があります。

空の玄関口、ハーツフィールド国際空港は世界一広いターミナルを持ち、乗降者の数はシカゴのオヘア空港に次いで世界二位。

また、ロシアや中国など共産圏でも売られた唯一のアメリカ整品だったコカ・コーラの本社もアトランタの自慢のタネです。

更に、湾岸戦争の報道で世界中をアッと驚かせたCNNの本社もアトランタにあります。

市の紋章である「不死鳥」(フェニックス)は、古代ギリシャ神話に登場する伝説の鳥です。

五百年と言われる寿命を迎えると、自ら燃え上がる炎に飛び込んで死にますが、再び蘇る鳥と伝えられています。

つまり、死ぬ事のない永遠の生命を持つ処から別名を「火の鳥」と呼ばれているのです。

アトランタの人々が、地元に誇りを持って自慢するのも良く分かるような気がしますね。

本日の裏話は、アメリカで地元の人々が郷土愛を持つ都市アトランタの情報を多少詳しくご紹介しました。

処で、今年の六月、アメリカの白人警察官が黒人青年の首を絞めて殺害、同じパターンで黒人を射殺との事件もありました。

この事件に抗議したデモが世界中に波及。その中でアトランタのテレビ局CNNの本社に突入の騒動がありましたね。

このニュース映像を見た地元の皆さんは、多分耐えられない気分になった事でしょう。

本日の結論! 一人の時は静かで大人しい人も、集団になると乱暴・狼藉を働く、集団心理ですかね。

素晴らしい「不死鳥」の都市アトランタで、あのような暴動は二度と起こらないように願いたいもので~す。