テレビは世の中を動かす怪獣です。
テレビでCMが流れれば物は売れるわ、その辺のお姉ちゃんでも人気があれば、ある日突然大学教授に変身!
芸人でも国会議員に変身!とばかり何でもアリの怪獣がテレビなのです。
その怪獣の中でも、ひときわドデかい怪獣が出現、それが70年代に生まれた
「アメリカ横断ウルトラクイズ」
でした。
70年代といえば、まだ庶民にとっては海外旅行なんて夢のまた夢で憧れの時代。
そんな時代に、
「ニューヨークに行きたいか!」
「罰ゲームは怖くないか!」
の掛け声で、クイズの参加者をいきなり外国へ連れ出しちゃったのですから、日本中のクイズ好きがパニックに巻き込まれてしまったのです。
毎年後楽園球場(後の東京ドーム)に集まる参加者は5万人。
それも日本全国から自費でやってくるのですから、ご苦労さんな事です。
しかも、第一問で落ちてしまえば、「ハイ、それまでよ」ですから高い旅費を考えれば泣き出したくなるような心境だったでしょうね。
それでも、なんだこの問題は!とクレームをつけてくる人が一人もいなかったのですから、みんなお祭りに参加するような気持ち、或いは宝くじを買うような楽しみで集まってきたのだと思います。
そして、クイズに正解さえすれば、100人が成田までは行ける。
更に、魔の関門、ジャンケンに勝てば海外へ飛び立てるという、甘い誘いに乗って中には休暇が取れず、会社を辞めてまで参加したという人までいたのです。
そのくらい人生を変えてしまうような怪獣だったのです。