ある日のロケハン日記

アメリカ横断ウルトラクイズの担当構成者だった私は毎年6月ごろに1か月の予定でロケハンに参加していました。

ロケの本番と違ってロケハンは少人数の旅ですし、各地を見て回る観光気分もあって、楽しい思い出が多かったのす。

しかし、中には例外もあって、第14回のロケハンは体力的に厳しいものでした

。当時のメモが出てきたので覗いて見ると、この回は西海岸から東海岸まで全行程を、飛行機を使わずに車で移動するというハードスケジュールだったのです。

番組のタイトルが「アメリカ横断」と謳っているのですから、実際に車で横断してみようと軽い気持ちで誰かが出した案が採用されてしまったのです。

ロケハンも、勿論本番同然に全行程を車で走って行われました。

アメリカ大陸は西海岸から東海岸まで、直線で結んでも6,000kmと言われます。

我々のようにジグザグにコースを想定すると、9,000kmにもなってしまいます。

普通の自家用車なら1年半かかって走る距離を4週間で走るのですから、強行軍になるのは当然でした。

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10年一昔、隔世の感

アメリカ横断ウルトラクイズのクイズ問題を振り返ってみて見ると、世の中の流れの速さに驚かされます。

今の世の中は世界中がインターネットで結ばれ、あらゆる情報がアッという間に手元に届く時代になりました。

所謂IT時代の到来です。

第7回ですから、今から31年前のジャスパーで次のような問題が出されていました。

タイプライターの代わりとして注目され、マイクロコンピューターを使って文章の編集、校正、複製などをする機会は何?

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昔の親は偉かった

アメリカ横断ウルトラクイズのクイズ問題の中には、人間としての最低限の知識を求める問題が結構含まれていました。

これは小学生でも中学生でも、一定レベルの教育を受けた人間ならば確実に答えられる、という意味でその様な問題を出題していたのです。

当時は小学生の視聴者もいましたので、家族みんなでクイズに参加出来るのが理想との目的で、あえてこの様な問題を作っていたのです。

クイズの出典で多かったのが「日本昔話」「イソップ寓話」「グリム童話集」「ギリシャ神話」などが貴重な参考文献になっていました。

これらのお話は、多分学校の授業で習うものではありません。

幼児の頃に両親や祖父母に聞かされた、大体がその様な経緯で知識の片隅に記憶された方が多いはずです。

昔の親たちは、子供にお話を聞かせて知識を蓄える、常識を身に付けさせる、これも親の努めのと考えていたようです。

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対比のテクニックで問題を

アメリカ横断ウルトラクイズでクイズの問題を作っていると、「何処が面白いの?」というのが、常に話題になります。同じ知識、記憶を呼び起こして問題にするわけですから、視聴者が興味を持つような表現をしなければなりません。

クイズ問題の手法の中で、幾つかの事例を挙げ、共通点を探したり異なる点を答えにする対比の問題があります。第8回のグアムで、その様な問題が続けて出題された事がありました。

紫式部と清少納言、植物の名前にあるのはどっち?

・紫式部

解説 共に日本の代表的な歌人であり女流作家で、この名を知らない日本人は居ません。クイズ問題の題材としては、最適な人材でしょうね。但し、この二人の作品名や登場人物を当てるだけでは、面白味がありません。やはり、クイズにするなら新しい発見が欲しい所です。

この様な話をクイズ作家を集めた説明会でしたところ、翌週には新事実を発見した人が問題を作ってきました。 それが、ムラサキシキブと言う名の庭木を見つけ、清少納言と対比させて問題にした訳です。

この樹木は3ミリ程度の小さな実をつけ、色がだった事から紫式部と命名されたとの事でした。 同じ様な対比で、グアムで出された問題です。

首の長ーいキリンと、鼻の長ーい象。長がーく生きするのはどっち?

解説 獣医学的な平均年齢で、キリンは30歳~35歳と言われていました。これに対して象は75歳~80歳で人間の平均寿命に近いと言われていました。 この様に2つの物を対比させ、新しい発見をクイズ問題にする。

クイズ問題作家は常に人々の興味を惹く表現を考えてオリジナリティーを持たせる、それが問題を採用させるコツだったのです。

クイズ研との腕比べ?

アメリカ横断ウルトラクイズの挑戦者の中には当時全国の大学に誕生したクイズ研究会のメンバーが多く含まれていました。

クイズ王になった人達もクイズ研が多く、大学対抗クイズ合戦の様相を強めていました。 大学の研究会ですから、多分日頃の活動はお互いに想定問題を作り、それを発表しながらクイズの腕を磨いていた事でしょう。

その様な挑戦者が多くなると、一般視聴者の参加希望が減ってしまうのではないかと、我々のスタッフの中には心配する人間もいました。

クイズ問題の責任者だった私は、クイズ研と問題作りの腕比べのような立場に置かれ、クイズ研の想定問題を避ける様な形で面白い問題を作らなければなりません。 その様な中で多分クイズ研のネタになりそうな一覧表を見つけた事がありました。 続きを読む