常識の盲点が面白い

アメリカ横断ウルトラ・クイズのクイズ問題は、世の中で知られた事実を探す事も大事ですが、知られていない事象を探し出す作業も大切でした。

「ああ、それは知っている」と回答者が自信を持って答えられる問題もありますが、「ん? ハテどうなんだろう?」と首を捻りたくなる設問の方が興味が持てる問題になりそうです。

例えば子供の頃に誰もが興味を持ちそうなペットにヤドカリがありますね。

育っていく段階で、次々と自分に合った貝殻に移り住む習性が面白いので、飼育をした経験者も多いことでしょう。

浜辺でヤドカリを捕まえて飼育する人。

ペット・ショップで購入して餌を与えながら育てる人、など様々です。

でも、このヤドカリは生まれた時にはどのような貝殻に入っていたのだろう? となると真相を知る人はあまり居ません。

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多分、柔らかい小さな貝殻を持って生まれたのだろう、という考えと、最初から宿がないので、他の貝殻に寄生して誕生したのか?

といった考えが頭の中で混乱するはずです。

第11回のグアムの○×泥んこクイズで、その問題が問われました。

問・生まれたばかりのヤドカリは貝殻を持っていない。

答・○

解説

ヤドカリは生まれながらにして可哀想な運命で、ホームレス状態で誕生するのです。

生まれて暫くの間は水中を浮遊しながら成長します。 次第に大きくなって、そろそろ独立して独り立する頃に自分のサイズに合った貝殻を見つけて住み込むという習性なのですね。

後はご存知のように成長して狭くなると、より広い宿を見つけて移り住む、この辺は人間の成長に似ていないこともありません。

この問題の様に知識の盲点を探し、自分で調査してクイズ問題に育て上げる作業、これがクイズ作家の仕事だったのです。

素朴な疑問と言う言葉がありますが、この疑問こそが、面白いクイズ問題の宝庫かも知れません。

語源を知ると楽しい

 

アメリカ横断ウルトラ・クイズの問題の中に語源を求める問題が多数出題されていました。

クイズ問題の目的の中には、知って楽しい知識を掘り起こす、という項目がありました。

言葉の基になる「語源」は知っているようで知らずに使っている人が結構多いのです。

元々の意味を知っていて使う言葉と、知らずに使う言葉では意味合いが違います。やはり本来の意味を知って、口から出る方が、言葉に重みがあるように思います。

つい最近のテレビでも、ゴールデンウィークの語源に関する話をクイズの形で放送していました。

ゴールデンウィークと言う言葉が生まれた事に関連する業界は?

と、言う設問で①銭湯 ②デパート ③映画館 の3者択一でした。

答は③で、昭和26年の事、映画が唯一の娯楽だった時代で、この連休を映画館に集客しようという狙いで「黄金週間」と名付けたのが始まりと解説していました。

言葉の語源には「なるほどねえ」という理由が隠されています。

その理由を知るのもクイズ問題の楽しみ、と我々は考えていました。

第4回のニューヨークの決勝戦で次のような問題が出されていました。

・江戸時代に安い物の代名詞になった物で2足3文で売られていたものは何?

答・わらじ

解説 2足と言うからには履物で、当時は「靴」などありませんから、下駄か雪駄か、草履、わらじ、足袋などが頭に浮かぶでしょうね。

その様な中で一番安いものは、多分「わらじ」と正解に辿り着くのは想定内の易しい問題でした。

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しかし、「2足3文」という言葉は、履物から離れて日常的に「安物」と言う意味で世の中に通用しています。

「そんな2足3文みたいな安物、欲しくないね」と言ったように物の価値をけなす時に使われるフレーズです。

でも、わらじをイメージしてこの言葉を使う人は皆無に近いのではないでしょうか。

勿論、言葉としてはそれで良いのでしょうが、言葉は大抵の場合、語源から独立して独り歩きをするので、語源を知ると「へー!」という驚きがあります。

これで解るのは江戸時代、安物の代表はわらじだったという事で、現代人が高価な靴を欲しがるのと、対照的ですね。

今日の話題の締めですが、「面白くないね。2足3文のネタだ」と言わないでください。

 

 

 

 

意外!歴史の浅い競技

アメリカ横断ウルトラ・クイズのクイズ問題を振り返って見ると、世の中の流れが見えて来る事があります。

例えば、スポーツの歴史を眺めて見ましょう。

今では野球、サッカー、ゴルフなどのプロスポーツを見ても世界の舞台で活躍する日本人の選手が綺羅星のごとく、大勢います。

でも、ウルトラクイズが放送されていた時代には、メジャー・リーグで活躍していたのはトルネード投法で旋風を巻き起こしていた野茂英雄投手くらいでした。

メジャーリーグの歴史では、1964年に日本人初の村上雅則投手が誕生していますが、その30年後に野茂英雄投手が活躍を始めたのですね。

今では毎日のように日本人選手の活躍がスポーツ・ニュースで報じられていて、スポーツファンにとっては夢のような時代になりました。

また、世の中は健康ブームで老若男女がマラソンに熱中しています。

特に2000年のシドニー・オリンピックで高橋尚子選手が金メダルを獲得したのを機に、女性たちにもマラソンブームが巻き起こり、各地のマラソン大会に参加する女性が急増しています。

これほど加熱している女子のマラソンの歴史も、意外や浅いのがクイズ問題で解ります。

第12回のゲイインズビルで、次のような問題がありました。

・マラソンに世界で初めて女性の公認参加を認めたのは何マラソン?

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答・ボストン・マラソン

解説 ボストンマラソンは全世界を代表する最も歴史あるマラソン大会です。

毎年4月の第3月曜日に行われ、今年は4月20に119回目の大会が開かれたばかりです。

全世界のマラソン・ランナーの憧れの大会と言っても良いでしょう。

この大会の第76回(1972年)で、初めて女性が参加する事が認められています。

と、いうことは現在過熱気味の女性のマラソンも、43年以前には公式レースとして認められていなかったのですね。

今では「オリンピックの花」ともいわれる女子マラソンですが、この歴史まだまだ浅いという雑学的なお話でした。