意地悪な問題の例

 

 

アメリカ横断ウルトラ・クイズの問題の中には、単に知識を求めるだけでなく、頭の回転を試す問題も含まれていました。

特に名物になっていたバラマキ・クイズのように、時間に追われて焦っている時には、頭の回転が鈍くなっています。

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落ち着いて考えれば単純な問題も、焦った状態で出題されると思考回路が働かず考えが及ばない事があります。

この様な時に意地悪な問題が出されて、挑戦者があたふた慌てる様子を演出的に狙っていたのです。

第6回のニューオリンズで、その典型的な問題が出されていました。

問・将棋の目の数から、オセロ盤の目の数を引くと幾つ?

答・17

解説 この問題では、1問で3つの知識が必要です。

まず、将棋盤の目は幾つなのか? これは9×9=81です。

次にオセロ盤の目は? 8×8=64です。

更に81ー64=17 の暗算をしなければ正解にたどり着きません。

これを限られた短い時間で答えるのですから、頭の中は高速回転させなければなりません。

尤も、この時は早押しクイズだったので、まずボタンを押して回答権を獲得。それから考えたのでしょう。

でも、制限時間は5秒間、脳ミソの高速回転には変わりがありません。

でも、ウルトラの挑戦者は、まず早押しボタンを押してそれから考える、図太い神経の人も多かったのです。

だから、わずか1問の問題にも時々このような手の込んだ仕掛けが必要だったのです。

キツネタヌキ化かし合いにも似ていますね。

だから見ている皆さんも楽しめたのでしょうね。

 

悠久の歴史を刻む大河

 

アメリカ横断ウルトラ・クイズに限らず、クイズ問題になり易い対象に世界の大河が有ります。

世界の大河では、アマゾン川、ナイル川、長江、ミシシッピ川、ヴォルガ川などが主なところですね。

これ等の川には、それぞれ悠久の歴史が刻まれていてクイズ問題として取り上げ易いのです。

上記に挙げた川が何処を流れているのか、クイズマニアに限らず、一般知識として義務教育で習っているはずです。

でも、クイズの場合は、社会科や地理の試験ではないので単に流域を当てる様な設問は無いでしょう。

しかし、これ等の大河には、それぞれの国によって歴史的な出来事が含まれており、その中から知って面白そうな問題が創られていました。

第3回のグランドキャニオンで、次のような問題がありました。

問・歌で「ヨホホイのサッサ」と言って下るのは天竜川、では「エイコーラ、エイコーラ」といって唄うロシアの河は?

答・ボルガ河

解説 ボルガはヨーロッパ第1の大河で、全長3700kmと言われています。

ロシアの西部を源流に、カスピ海まで数々の歴史の舞台にもなり「母なる川」の愛称で親しまれています。

また、ロシア民謡「ヴォルガの舟唄」も小学唱歌として唄われていますので、記憶に残っている方も多いでしょうね。

天竜川の川下りも、ヴォルガの舟唄も、共に掛け声を掛けながら歌う共通点が面白いので、クイズ問題として採用されました。

その他の大河にしても、川に付随するエピソードの中から、数多くのクイズ問題が創られています。

大河という言葉には、悠久の歴史を感じさせる響きがあり、大河ドラマもその様な発想で生まれたものと思われます。

常識の盲点を突く

 

アメリカ横断ウルトラ・クイズのクイズ問題が面白いと評価されたのは、一般常識と思われる事意外に、その裏側に目を向けた点にあると思います。

例えば、人類で初めて空を飛んだ兄弟は? と言えば飛行機の発明者ライト兄弟が、常識となっています。

これは小学生レベルのクイズ問題で、クイズマニアにとっては超易しい問題で物足りないでしょう。

実は、厳密に調べるとライト兄弟よりも120年も前に空を飛んでいた人間がいる事が解りました。

そこで、創られた問題が第12回のフェゴ島で出題されていました。

問・1783年、フランスのモンゴルフェイ兄弟が、人類初の有人飛行に成功した乗り物は?

答・ 熱気球  

解説 空を飛ぶ乗り物と言えば、飛行機です。でも、これはライト兄弟の発明で有名過ぎますね。

その他の乗り物を考えると、凧、  ハングライダー、飛行船、熱気球などが思い浮かびます。

名古屋城の金の鯱を盗むため、凧に乗って石川五右衛門が空を飛んだという講談が有りましたが、これはフィクションの世界です。

ハングライダーは最近のスポーツですし、選択肢として有力なのは熱気球です。

そこで、熱気球の歴史を調査したところ、1783年にフランスのモンゴルフェイ兄弟が発明したのが解りました。

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二人は煙突から立ち上る煙から、温めた気体を袋に詰め空を飛ぶというアイデアを着想したと言われています。

最初は暖炉の煙を紙袋に詰めて実験し、自分たちの理論が正しいことを確かめると、より大きな袋(風船)を作り、熱気球に発展させました。

人類初の飛行は兄弟ではなく2人の侯爵が乗り、ブローニュの森から高さ90mで、25分間飛行したと記録されています。

この貴族はその後、ドーバー海峡を熱気球で横断に挑戦、途中で爆発して墜落、熱気球初の犠牲者としても名を残しています。

このエピソードは番組の中では紹介で出来ませんでしたが、問題の裏側には意外な事実があったのです。

これは料理で言えば、隠し味に当たり、クイズ問題にはこの様な工夫が必要だったのです。