中秋の名月に思う

アメリカ横断ウルトラ・クイズの問題には、日本独特の習慣や行事が出題される事があります。

秋の行事の中で忘れられないのは「一五夜のお月見」でしょうね。昔は旧暦の8月15日でした。

現在は、9月で今年は9月24日が中秋の名月でした。

現代では、各家庭で飾り付けをしお月見を楽しむ家族も少くなりましたが、昭和の40年代まではそのような家庭も多かったのが思い出されます。

処で、この「お月見」から発生した日本語が、クイズ問題になったことがありました。

第10回のモニュメントバレーで出された問題でした。

問・九州の海の名前にもあります。空に月が残ったまま夜が明けてくることを何という?

答・有明

解説 月がまだありながら、夜が明けてくる頃、又はその月の事を有明と言います。

その昔、月を愛でながら歌のを開いているうちに、夜が明けてしまい、誰が言うともなくこの言葉が生まれたのでしょう。

如何にも、古代の歌人達の優雅な遊びが、想像出来る状況と言えますね。

現代では、月を見て「月旅行をしたい」と2,000億もの大金を投資したIT長者が世界の話題になりました。

成り上り者の自己宣伝「そんな無駄使いより、寄付でもすればよいのに」等、ツイッターでは大反響でした。

それは兎も角として、月を見て感じる事も、昔と今では大きく変わってしまいました。

どちらが正しいと言う訳ではなく、人の考えは時と共に変化する典型的な例と言えるでしょう。

名月を見たら「きれいだねえ」と感動する、こんな気持ちが一般的な感情だと良いのですがねえ。古いのかなあ…。

国の象徴、国歌・国旗のお話

アメリカ横断ウルトラ・クイズの問題の中には、日本国内に留まらず、諸外国の話題も多数含まれていました。

クイズは知識を競うゲームなので、国の内外の豊富な知識を記憶している人が、優位になるのは当然と言えます。

第15回のハワイで、国歌に関する次のような問題が出されていました。

問・「市民よ、武器をとれ、行進せよ、彼らの血で大地を染めよ」という過激な歌い出しで始まるのはどこの国の国歌?

答・フランス

解説 フランスと言えば文化の中心地とも言える存在。

そんな文化的な国の国歌が、イメージに反して過激すぎる! との理由でこの問題は採用されました。

この国歌は「ラ・マルセイエーズ」との題名で、1,875年に正式に採用されたのです。

実は元々、フランス革命の時の革命歌であり、マルセイユの義勇兵が行進の時に歌いながら、広めたとの歴史があったのです。

この過激な国歌に対して、フランス国旗のイメージは全く異なっているのも、面白い現象と言えるでしょう。

国旗はトリコロールと呼ばれ、青・白・赤(自由、平等、博愛)を表し、世界の国旗に最も多く影響を与えているそうです。

ファッション、芸術、映画など文化の中心地と呼ばれる本領の発揮ですね、流石!

本日の裏話は、国歌、国旗に関する意外性のある問題を振り返って見ました。

オリンピックを初め、スポーツの世界選手権が盛んな昨今、国旗や国歌に接する機会が多いので、この話題を取り上げました。

自由の女神の裏話

アメリカ横断ウルトラ・クイズの問題を振り返ると、日本とアメリカとのお付き合いの歴史が見えてきます。

現代では、日本とアメリカは兄弟のように仲が良く、世界では最高の同盟国のように見られています。

とは言え、日本とアメリカのお付き合いは、それほど永くはありません。

ペリーが黒船に乗ってやって来たのが、わずか165年前の事でした。

その後、日米通商条約が結ばれ、この内容を巡って大老、井伊直弼が「安政の大獄」を断行しました。

この事件を切っ掛けに徳川幕府が崩壊し、明治維新へと進行したのは、中学、高校の近代史で学習した通りですね。

以上の歴史が頭にあると、正解の確率が高い問題が第15回の東京ドームで出されていました。

問・1886年、「自由の女神」の除幕式に日本人も招待されていた。〇か×か?

答・×

解説 1,886年には、アメリカに日本領事館はありました。とはいえ日本との付き合いは浅く、日本の重要人物はアメリカに渡っていなかったのです。

従って、除幕式の招待リストには、日本人の名前は無く、中南米の招待者が多かったと記録されていました。

処で、除幕式よりも26年前の1,860年に勝海舟が率いる咸臨丸がサンフランシスコへ渡っています。

咸臨丸には、勝海舟の他、福沢諭吉、通訳のジョン万次郎などの著名人が乗っていたのです。

もしも、除幕式が26年前だったら、これ等の人達が日本からの珍客として招かれる可能性もあったかもしれません。

勿論、架空の想像ですが、彼らが除幕式に招待されていたら、自由の女神の歴史も面白く展開した事でしょう。

本日の裏話は、ウルトラクイズの象徴である「自由の女神」に関する私の馬鹿な空想でした。

日本の宝とは?

アメリカ横断ウルトラ・クイズの問題は日本人なら知っているべき常識を基本に作られていました。

とは言え、易しい、中程度、難しい、の3段階に分け出題されていたのです。

易しいは誰でも知っている常識、難しいは3割以下の人しか知らない、中程度はその中間と言えます。

これは、挑戦者だけでなく、テレビのクイズ・ファン全員が問題に参加出来る事を基本に作られた番組だったからです。

家族でテレビを観ている場合「お婆ちゃん凄い!」と、家族の会話が進めば、理想的な番組になります。

そんな中で、中程度の問題を探していたら、第11回のグアムで相応しい問題がありました。

問・どんなに素晴らしい作品であっても、生きている人の作品が重要文化財に指定された事はない。〇か✖か?

答・〇

解説 当然!「否、例外もある筈だ」○×問題は、半々に分かれる程度の難易度の問題を我々は選んでいました。

どんなに素晴らしい作品であっても、生きている人の作品は重要文化財には指定されません。

すべてが、故人の作品なのです。

重要文化財は1950年(昭和25)に制定された文化財保護法によって、文部科学大臣が指定すると決められていた法律です。

生きている人に関しては「人間国宝」との尊称があり、資格は重要文化財に相当する作者や、技の持ち主に与えられるのです。

何れにしても「日本の宝」との認定ですね。

因みに「認定の賞状」「賞金」が与えられますが、その額は年間200万円で助成金なのだそうです。

これは認定された個人への報奨金ではなく、個人が携わった文化、伝統、技などに与えられるのです。

従って、お金は後継者の育成など目的が限定され、当然報告も義務付けられる助成金なのですね。

ですから、助成金を貰い左団扇で遊んで暮らす様な事は出来ないのです。

尤も人間国宝にそんな不届き者が要る筈もありません。

本日の裏話は、日本の宝「重要文化財」「人間国宝」に関する踏み込んだ知識のご紹介でした。