単なる日用品にも歴史がある

アメリカ横断ウルトラ・クイズの問題の中には、日本人の日常生活に関する問題が多数出されていました。

日常の出来事なので、誰でも知っているようですが、地方によって生活習慣も異なるので、意外と知らない事も多いのです。

そんな盲点の中から、面白い情報を拾い上げ、我々はクイズ問題に仕上げる作業をしていました。

第16回のフィラデルフィアの準決勝で、生活用品に関する頭を混乱させるような問題が出されていました。

問・薬を煮るのに用いられたことから、その名が付いた日用品といえば何?

答・薬缶(やかん)

解説 薬缶は日本中どの家庭にもある日用品です。処が薬を煮るのに用いられた、の設問で他の日用品を想像しそうです。

となると、焙烙(ほうろく)かな? 土鍋? など様々な日用品が頭の中に思い浮かんでしまいそうです。

特に焙烙は、穀類や茶などを炒ったりする素焼きの浅い土鍋なので薬を煮る事もありそうで、勘違いするかもしれません。

この場合、薬缶の漢字を知っていれば、迷うことなく正解出来る問題でした。

家庭では、ヤカンは湯を沸かす道具で、アルマイトや真鍮、銅などで作られ、用途は同じの(鉄瓶)と区別されています。

歴史的には、鎌倉時代に中国から伝来し、薬を煮出す生薬用の加熱器具として使われ、薬缶と呼ばれていました。

それが、湯を沸かす道具として便利なので、一般に普及しその名もヤカンとして庶民にも知られるようになったのです。

一般家庭にある日用品も、少し調べて見ると「語源」や「歴史」など、知って面白い話が結構あるものですね。

近年では薬缶に代わって、スイッチ一つで簡単に沸かせる「電気湯沸かし器」が普及しています。

昭和から平成、令和と時代の変化で、日用品まで次々と姿を変え単なる薬缶が懐かしい貴重な骨董品になるかも知れません。

本日の裏話は、日用品も時代の流れで価値が変わる事があるかも知れないとのお話でした。

では、ゴールデンウイークも終ったので、暇が出来たら薬缶でもゴシゴシ磨いて未来の骨董品の価値を高めましょう~。

専門用語を推理する術は?

アメリカ横断ウルトラ・クイズの問題の中には、或る業界の専門用語が出る事もあります。

一般人にとって、専門用語は「難問」の部類に入り、普通は簡単に正解出来ない問題と言えます。

とは言え、勘を働かせて答を見つける事もあり、その思い切りの良さが勝敗のカギになるのですね。

第15回のモハーベ砂漠で、直接知らなくても、勘が良ければ正解出来る典型的な問題がありました。

問・株のインサイダー取引を防ぐ経済用語「チャイニーズ・ウォール」の語源となっている、中国の建造物は何?

答・万里の長城

解説 中国の建造物で有名なものと言えば「紫禁城」「万里の長城」が思い浮かぶでしょう。

紫禁城は、1,420年に完成した代々の皇帝の住居であり、現在は故宮博物館として一般に公開されている北京の名所です。

それに対して、中国のウォール「壁」として役立つのは、世界一長い城である「万里の長城」しかありません。

以上の条件を考えれば、直接この「経済用語」を知らなくても正解する事が出来る問題なのです。

以上のように、クイズに勝ち抜く為には、数多い知識を総合して正解を導き出す術(すべ)を身に付ける事が必要です。

楽しみにしていたゴールデンウイークの10連休も、今日で終わりなので本日の裏話は、難問の解き方を解説しました。

クイズ好きの皆さんはすでに知っている事でしたかネ~。

「西遊記」を知っていますか?

アメリカ横断ウルトラ・クイズの問題は、旬の話題を中心に創られていたので、時代によっては答えられない年代も居ます。

或る年代の人にとっては、常識でも別の年代にとっては、難問になってしまう問題も出て来ます。

例えば、現代の若者が聞いたら想像も出来ない超難問。でも、当時の挑戦者は競って早押しボタンを押した問題がありました。

第14回のグランドテイトンで、出された以下の問題です。

問・「西遊記」に出て来る金角大王と銀角大王が大事にしている、人間を吸い込んでしまうものとは何?

答・ひょうたん

解説 「西遊記」は明の中期に書かれた小説で、三蔵法師と家来の孫悟空、沙悟浄、八戒の旅物語です。

有名な小説と言えども、多数の人が読んでいるとは限りません。従って、普通なら超難問の部類でしょう。

処が、1,978年~80年に日本テレビで連続ドラマとして放送され当時のヒット番組でした。

また、1,994年から再び日本テレビで連続ドラマとして放送され、高視聴率を獲得したという歴史がありました。

となると、天竺(インドの呼称)までの一行の旅を邪魔する悪魔が次々登場、戦いぶりが描かれていました。

以上の事から、当時の視聴者の多くが「西遊記」の内容を理解し、この問題は常識中の常識となっていたのです。

また、番組のヒットに便乗したのか、子供向けの絵本も多数発売されたので、子供達も知っていたお話だったのです。

筋斗雲(きんとうん)と呼ばれる雲に乗る孫悟空は、一飛びで十万八千里を移動できます。

正に、スーパーマン的な活躍をしたのですから、視聴者のヒーローになるのは当然でした。

とは言え、孫悟空はドジな性格で失敗も多く、愛されるキャラクターだったのです。

本日の裏話は、人によっては懐かしい、また別の人には未知な「西遊記」のお話でした。

クイズ問題の難易度は、時代によって変わる典型的な例をご紹介しました。

結論は、だからクイズは面白いのでした~。

 

言葉の元祖は不明が多い

アメリカ横断ウルトラ・クイズの問題の中には、日本人として当然知っているべき、常識的な知識が出されていました。

常識と言っても、全ての日本人が知っている訳ではなく、年代や地域によって差が出て来る場合があります。

地域の差では「関東と関西の差」が、よく話題になり「恰好つけしい」の関東に対し、関西では「本音で話す」が有名です。

例えば、買い物でも関東では定価で買うのが当然。でも、関西風は「なんぼまけるん?」と値切るのが常識のようです。

本音で話す方が楽ですが、でも関東の人は「人間、見栄を張るのも大切」と考えるのでしょう。

前置きが長くなりましたが、地方色が出るクイズ問題があったので、ご紹介しましょう。

第8回のグアムで、次の問題が出されていました。

問・日本料理で、お通しといえば前菜。では、お作りといったら何?

答・お刺身

解説 お作りは、関西地方で発生した言葉といわれています。

もともとは女房言葉で、刺身の表現を替えたものです。刺身も切り身も、刺す、切るの表現が嫌われたのです。

そこで、魚を切って作るので「つくり身」と呼んでいましたが、身が略されて、何時の間にか「つくり」になったのです。

昔は縁起を気にする人が多く、するめを「あたりめ」。梨を「有の実」と呼んだのが代表的ですね。

するは、スリに摺られる様で縁起が悪い。ナシは無しに通じて嫌だ、などの理由だと伝えられています。

言葉とは、人々の間で自然発生的に広がる要素があり、前菜のお通しも、刺身のお作りも庶民の間で伝わったものでしょう。

共に料理の言葉なので、若しかすると「我が店が発祥の元祖」と名乗り出る老舗の料亭があるかも知れません。

でも、この「ウルトラクイズの裏話」を読んでいる確率は0%に近いので、そんな話は皆無でしょうね。

本日は日本人の嫌う「縁起言葉」に関して、お通しとお作りの語源のお話でした。

お作りの後は、当然一杯行こう~、ってところですかね。