戦後間もない名作ドラマと流行

アメリカ横断ウルトラ・クイズの問題は、日本人の一般常識を基本に創られていました。

一口に一般常識と言っても、この常識は時代によって変化する事もあり、それは年代によって知識に差が出て来ます。

クイズに勝ち進む挑戦者は、この時代の差を乗り越えて何時の時代の事象にも答えられる知識を蓄積しているようです。

第15回のハワイで、年代を越えた日本人の一般常識の問題が出されていました。

問・菊田一夫の名作「君の名は」で、主人公の二人が劇的な出会いをした橋の名前は何という?

答・数寄屋橋

解説 東京の千代田区と中央区との間にあった外堀に架かっていた旧橋名です。

戦後、堀の埋め立てと共に消失しました。現在は記念碑があり、数寄屋橋公園となっています。

処で「君の名は」は戦後間もない時代にNHKのラジオ・ドラマとして放送され大ヒット作品となりました。

毎週木曜日、放送時間になると日本中の銭湯の女湯がガラ隙になるほど女性達に人気がありました。

その後、松竹で映画化され佐田啓二さんと岸恵子さんが主演を務め、マフラーで顔と頭部を巻く真知子巻が大流行となりました。

佐田啓二さんは、若くして自動車事故で亡くなっていますが、日本を代表する二枚目俳優として永く記憶に残るスターでした。

因みに、現在活躍している中井貴一さんは、佐田さんの長男である事は年配の方はご存知でしょう。

本日の裏話は、戦後間もない菊田一夫の名作「君の名は」に関するクイズ問題として、戦後の風景を思い浮かべるお話でした。

映画のヒットで流行が生まれるのは世界共通のようで、最大の流行になったのは「ローマの休日」でしょうね。

オードリーヘップバーンの髪型を真似した「ヘップバーン刈」が世界中の女性に流行。美女が氾濫状態に?…

とは言え「顔まで真似は出来ません」。お蔭で成形外科医が大繁盛とのニュースは有りませんでした。

同じ顔に直す名医が居なかったのでしょうか?残念でしたね~。

 

婦人運動家の源流を辿る

アメリカ横断ウルトラ・クイズの問題は、日本人の一般常識を基本に創られていました。

一般常識の幅は広いので、我々は人物、歴史、社会現象など幾つかの分野に分類し、毎回クイズの数を絞って出していました。

これによって、問題が片寄る事が防げるし、挑戦者の得意な分野が判るので、次の勝者と敗者が予想出来る利点もありました。

これはスタジオでの進行で、司会の高島忠夫さん、石川牧子さんの敗者予想の材料になっていたのです。

キャッチフレーズが「敗者が主役のウルトラクイズ」だったので、敗者の資料は番組の進行上大切な材料だったのです。

前説はこの辺で「人物」に関する問題をご紹介しましょう。第4回のプエルトリコで出された次の問題です。

問・明治に生まれ、日本女子大を卒業。年下の愛人、奥村博史と結婚し「若いつばめ」という言葉を流行させた婦人運動家とは?

答・平塚雷鳥(らいてう)と表した事もある。

解説 一九一一年、女性だけの手で雑誌「青踏(せいとう)」を発刊。その創刊の辞に「原始女性は太陽であった」を執筆。

この言葉は、多くの男性にショックを与えると同時に、有名な一説として教科書にも採用されていましたね。

平塚雷鳥は大きな反響を呼ぶと同時に、女性革命家としての名声を高め、女性の地位向上運動のリーダーとして活躍しました。

肩書は思想家、評論家、作家、戦前・戦後に亘って活動した女性解放運動家の元祖と言える存在です。

彼女は年下の男性と恋愛し、結婚。「若いつばめ」という言葉が流行語になりました。

この語源は、彼と離婚した時に雷鳥自身が発表した小説の文章に有りました。

「静かな水鳥たちが仲良く遊んでいる処へ、一羽のつばめが飛んできて平和を乱してしまった。」と自らの結婚を記しています。

離婚に付いては「若いつばめは池の平和のために飛び去って行く」との文を発表し、一種の流行語になったのです。

「青踏」を発刊した当初には、女性議員として名高い市川房江氏も同志として活動しましたが、意見が衝突し分かれています。

一方の市川房江さんは、日本の女性議員の草分け的な存在として知られていますね。1,945(昭和20年)婦人の参政権を要求。

その結果、その年の12月議員選挙法の改正で婦人の参政権が日本で初めて実現しました。

翌年の昭和21年の参議院選挙では、39人の女性議員が誕生しましたが、市川房江氏はその中に含まれていません。

実は、有権者の登録漏れで参政権も投票も出来ず、自身が議員になったのは8年後の事でした。

昭和28年の参議院選挙に東京の地方区から立候補し当選。以後通算五期、25年間参議院議員を務めています。

その間に、青島幸男氏をはじめとする著名人議員が市川さんの人柄を慕って傘下に入り、昭和の時代に活動しました。

本日の裏話は、日本の婦人運動家に関するクイズ問題から、若いつばめの語源発祥まで、女性の政治家誕生のお話でした。

「若いつばめ」になりたいという若者も結構いるようですが、つばめはやがって飛び去る運命だという事も想定した言葉です。

恋愛に歳の差は関係ない、近頃の若者の考えはそのようですね。とはいえ爺さんが若い女性に持てる事は夢物語ですよ~。

 

 

 

長寿社会のお祝い事

アメリカ横断ウルトラ・クイズの問題は、日本人の一般常識を基本に創られていました。

日本の風俗習慣は当然として、歴史、人物、法律など日本で生活する人間として守るべき決まり事が一般常識ですね。

その中でも、多くの人が経験する体験についての基本的な決まり事が問題として出されていました。

第14回のタヒチでの事です。

問・金婚式の二十五年前は「銀婚式」。では、銀婚式の二十五年前は何式?

答・結婚式

解説 「銀婚式」は結婚して二十五周年を祝う式。「金婚式」は結婚して五十周年を祝う式です。

五十年も夫婦が揃って元気でいる事は、今では珍しくもありませんが、昔はこれ自体が珍しく祝う価値がありました。

結婚に関する祝い事は、金婚式が最後ですが長寿に対しての祝いも年代を区切って数多くありますね。

六十歳=還暦、七十歳=古希、七十七歳=喜寿、八十歳=傘寿、八十八歳=米寿、九十歳=卒寿、九十九歳=白寿、百歳=百寿。

因みに白寿は、百の文字の上の一を除くと「白」の文字になる為にこの名がついたのだそうです。

還暦のお祝いには「赤い羽織」を贈るように、それぞれのお祝いに贈る品物も異なります。

これは子供や孫達が気を配るのが、日本古来の伝統なので忘れないようにしたいですね。

本日の裏話は、日本の式典に対するクイズ問題から、長生きに対するお祝いの習慣に関した常識のお話でした。

近年の日本は長寿社会なので、これらの長生きに関するお祝いをされる方も多くお目出度いお話です。

家族や周囲の皆さんに「長寿」をお祝いされる方は幸せです。逆に、長生きしたために言われる、こんな陰口もありましたね~。

憎まれっ子世にはばかるなんて言われないように生きましょ~。